日本財団 図書館


 

老人ホームにお伺いしたら「物より人手が欲しいのです。地域の方に入っていただけませんか」という事務長のお話がありました。それならお手伝いにということで、平成6年から3年間、特別養護老人ホームへ10人ぐらいのメンバーで月3回行っております。
私の場合は事務長から奮われて入りましたので、別に気兼ねしているわけではないのですが、トップの施設長や寮母等が全然ボランティアの知識がありません。1番それに頭を打ちました。要請した事務長さんはわかっているのですが、それ以外の人はみんな分かっておらず、たくさんのいざこざがありました。私はいつも事務長と話をして、できる限りの事ということで、現在は11時半から2時間だけ、車椅子の方のお食事のお手伝いと話し相手を徹底してやっています。
それでも寮母に「私らの手伝いはしてくれん」とかいろんなことを言われました。その経験から1番今行政にお願いしたいことは「施設長や施設の職員方にボランティアの教育をしてほしい」ということです。
ひどいところでは「もうボランティアで来てくれるな」という施設もあります。しかし、いざ必要になると結局「来てくれ」と言い、本当に勝手です。
それでも、いつも訪問していますと親しみがあり、いざ旅行やお祭りなどのいろいろな行事は参加し手伝っています。みんな2週間や1週間に1回は必ず訪問しており、「ああ、よう来たね、久しぶりじゃな」と言っていつもお年寄りと私たちは手をたたき合います。そういう繋がりがあるからこそ行事も成り立つものと思っています。本当に市がボランティアを育成するのであれば、先ず関係者を教育する必要があるのではないかと思います。

 

●ボランティア側の問題点と課題

 

田中 ありがとうございました。全国共通のいいテーマを出していただけました。今のご意見に岩崎部長にも答えていただきたいと思いますが、全国共通の問題で、本当にこういう問題があちらこちらでたくさんあります。
通常、特別養護老人ホームなり病院なり、ボランティアを受け入れる側はボランティアを受け入れる体制がきちんと出来てなければいけません。アメリカではボランティアを受け入れるボランティアルームがあり、職員の中にボランティア対応の責任者がいますし、行くと本当に歓迎して、いろいろできるようになっております。
社会福祉法人が経営している特別養護老人ホームは民間団体ですが、予算上は90%以上が措置費で税金で出ていますので、非常にお役所的なのです。
確かに施設側についてはお金は行政側が出していますので、上から無理やりでも教育しなければいけないのですが、逆に言えば、ボランティア側が本当に入所されている人にとって必要であるということを、具体的に示していく力強さを持っていがなければ問題の解決には成りえません。多分岡山市の市長や岩崎部長はご理解があるので、いろいろ手は打ってくれると思いますが、そういうレベルだけではやはり駄目なのです。“もう少し自分たち自身が力を持とうよ”ということを、この議論の流れとしてはしているつもりでいます。私はあちらこちらの自治体に対して“ボランティアを応援してくれ”と言っているのですが、多くの自治体は「大体ボランティアなんていうのは何か口やかましい小母さんたちが中心でわあわあ言いに来て困る」という雰囲気なのです。逆に言えば“かなわない

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION